刀と包丁のこと

刀と包丁のこと

マグロの刺身・白いご飯

料理で使う刃物は「包丁」、武道で使う刃物は「刀」という表現は辞書のような知識で、ある意味で味も雰囲気もないものですが、日本の時代物の小説や物語では時折この刀の事を「人斬り包丁」などというセリフが現れます。

西洋では、包丁をクッキングナイフと表現し、刀はソードという表現になりますが、これをあちらの方がスラングでソード(刀)のことを「マーダー・クッキングナイフ」などと表現しているのを聞いたことはありません。おそらく、西洋におけるナイフとソードの違いは大きさによるもので用途において表現の変わるものではないのでしょう。

大きな鮮魚市場に行くと、マグロの解体をしている風景を見られることもあります。
このマグロを切り分ける包丁は、あたかも日本刀のような大きさと形状をしていますがこの包丁は“マグロ包丁”と呼ばれています。
西洋に持っていったら、これはナイフではなくソードと呼ばれるのかもしれませんね。
これは、日本における刃物の文化が古くから身分に関わらず身近なものでありながら、包丁と刀の間には明確に身分としての武士とその他とで持っている意味合いが大きく異なるところに一因があるのかと考えています。
そういえば、物語でも侍に対して「人斬り包丁」と表現するのは町人階級の役柄の人であるように思います。

さて、現代事情を考えると刀を使うことは無くとも、包丁を使うことはよくあることでしょう。
(料理をあまりなさらない方でも…)
逆に、武道の稽古をする者であっても、実際に本当の刀を使って何かを切る事などあまり頻繁に行わないものです。
稽古のなかでは、本当の日本刀に代わり木剣が用いられますし、居合などを修行される方々でも稽古の度に刃のついた日本刀で竹や藁を切っているわけでもないだろうと思います。

お人によっては、包丁で手を切ってしまったことも無い方が、稽古で初心者の方に日本刀の切れ味を解説しているかもしれません。

それは、個人的には少しもったいない気がしているのです。
私自身の経験ですが、包丁をうまく使って素材をきれいに鮮度良く切り分けるのは、ある程度以上の練習が必要で、
台所で料理をしながら刃物の扱いに長けていった結果、
稽古のなかでも、言わば「切れないものを無理に切る」という動きをしないように自然となるのではないかと思っています。

そんな包丁の扱いの練習として、赤身のマグロをあまり水っぽくならないように切るところから始めてみたいと思います。

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